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 6.美しく危険な山 - Aurora Tour 1995 -
翌日、感動的なオーロラショーの余韻に浸りながらも、飛行機に乗ってアンカレッジへと戻ってきた。他の3人も一緒だ。僕と坂口君は安ホテルに、佐伯さんと河西さんも予約していたホリデイ・インに宿をとった。

佐伯さんと河西さんの2人の提案で、みんなでセスナ・フライトをしようということになった。一人でセスナ機をチャータして、フライとするには、かなりの費用がかかるが、4人で4等分すればそれほど高くは無い。それにせっかくアラスカまで来たのだから、アラスカの大自然を空から見てみたかった。流暢な英語を話す河西さんのおかげで、良心的なプライスのフライト会社を電話で探し、セスナ機の予約ができた。約3時間のフライトで一人60ドルほどだった。

翌朝、タクシーでセスナ機用の空港に行き、予約していた会社へ。予定では、コロンビア氷河を遊覧飛行するつもりだった。コロンビア氷河とは、太平洋・プリンス・ウィリアム湾に面した世界でも最大級の氷河のことである。全長64キロ、総面積1140km2。湾内にはクジラやイルカなどの野生動物が多く生息しているらしい。一見の価値はある。しかしである。
パイロット氏によると「南はだめだ。今連絡が入ったんだけど、雨らしいんだよ。今日はやめておいた方がいいね」ということだった。

「じゃあどうするの?」と聞くと、「今日は絶対マッキンリーだね。あそこなら晴天だよ。絶対おすすめだ!」という。
みんなは「じゃあ仕方ないわね」という感じだった。でも、僕は違った。僕は初めからコロンビア氷河なんてあんまり興味が無かった。時間に余裕があればいいけど、今はそんな時間は無い。僕にはマッキンリーのほうがずっと魅力的だった。

マッキンリー山。北米大陸の最高峰6194m。今でもマッキンリーには伝説的冒険家:植村直己が眠っているのだろう。あれほどまでに偉大な冒険家を魅了し、命さえ落としてしまう。マッキンリーとは、それ程までに美しく危険な山なのかもしれない。是非行きたいと前々から思っていた。パイロット氏

セスナは予想以上に小さかった。室内は小型乗用車を思わせる。僕はパイロットの隣の席に乗り込み、シートベルトを締めた。目の前には操縦桿とたくさんの計器類が並んであった。胸がワクワクする。整備士?のおじさんが手動でプロペラを回し、その勢いでエンジンがかかった。どれほどの馬力なのだろうか? 確かに音はうるさいが、非力に思える。パイロット氏はセスナを滑走路のスタート地点まで運転し、そこから一気にスピードを上げていった。プロペラが唸りをあげる。こんなんで離陸できるのか?と思っていると、機体は自然に地面を離れた。

「おお!」と機内がどよめく。飛行機はうまいことできていると感心してしまった。僕たちのセスナは適度な揺れを伴って、空港を後にした。目指すのは、美しく危険な山マッキンリーだ。
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