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 12.苦渋の選択 -行くしかないだろVenezuela-
朝食 翌朝、街のカフェでチーズの入った揚げパンとパインジュースで食事を済ませ、ヘリコプターの待つツアー会社へと向かった。快晴と言うわけではないが、曇天というわけでもない。僕たちはタクシーを拾って、颯爽とツアー会社の中へと入っていった。
 しかし、僕たちを待ち受けていたのは、衝撃的な現実だった。昨日の彼女が発した言葉。

 「残念だけど、今ロライマは厚い雲に被われているらしいの。折角だけど、今行っても見ることはできないと思うわ。明日の8時ぐらいなら多分大丈夫。早朝は大丈夫なの。どうしてもっていうのなら、飛んでも良いけど...」

 あまり予想していなかったことに、すこし動揺してしまった。ギアナ高地の最後秘境として君臨するロライマ山。入山が禁止されているテーブルマウンテンの中で、比較的簡単に、その頂上に降り立つことができるのは、この山だけだ。従って、ロライマの山頂だけが、コナン・ドイルのいう「失われた世界」なのである。ナショナル・ジオグラフィックのロライマ山の写真を見て以来、僕にとっては、この山はエンジェルフォールよりも魅力的な行きたい場所だったのだ。ナショナルジオグラフィークよりロライマ山
 少し考える時間をもらって、3人で話し合った。明日なら大丈夫というが、必ず見れるという保証は無い。それに、明日の夕方にはベネズエラを発たなければならず、それまでに、カラカスに戻れるかどうか。今日、飛んだとしても危ないのに...
 結局、諦めることにした。苦渋の選択だった。
 登山の場合、天候や状況により諦めて引き返すことがある。無謀にチャレンジするよりも諦めることの方が、勇気がいるという。この状況も後者になった。悔しい。辛い。しかし、それがツアーリーダーとしての決断だった。僕の旅行人生の中で、初めての経験「行きたいところに行けない」
 僕の提案で、仲間をこんなところに連れてきたのに、結局目的のものが見れないなんて...あまりにも苦い現実だった。こんなことなら、マルガリータ島でバカンスするんだった。
結局乗れなかったヘリ  乗ることの出来なかったヘリコプターを写真に収め、何のために着たのかわからない町サンタエレナを後にすることにした。予定どおりヘリコプターに乗ることが出来ていれば、夜行バスでカラカスに向かうはずだったが、予定が狂い、これなら飛行機に乗って、夕方までにはカラカスに着けるだろうと踏んだのだ。もうこの街には用は無い。


 空港に向かい、航空会社のオフィスを訪ねる。全く英語の出来ない担当者が出てきて、意を解するのに手間取ったが、なんとかベネズエラ第2の都市、シウダーギアナ行きのチケットを購入した。そして、シウダーギアナを経由して、夕方にはカラカス・シモン・ボリバル空港に到着した。久しぶりに見る都会は妙に新鮮に感じられ、ロライマに行けなかった悔しさを埋めるように、何かを求めてカラカスの街へと向かった。

沈む僕たち
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